太田一杯の味噌汁プロジェクトと佐藤麹屋

「協働ってなんだろう」「協働の事例」

 

○味噌のタイムカプセルをつくろう

事業協力 【参加団体】
○太田一杯の味噌汁プロジェクト
○一杯の味噌汁プロジェクト
○佐藤麹糀屋

 大仙市太田の認定こども園「太田わんぱくらんどのびのび園」で「太田一杯の味噌汁プロジェクト」が主催する『味噌パーティー』が行われました。

 味噌パーティーでは、園児たちが自分で育てたきゅうりなどの夏野菜を、地元で親しまれてきた麹入りの味噌とともに味わいました。園児のお腹が満たされたところで、「味噌には味噌を作る人の、野菜には野菜をつくる人の、料理をする人、そのほかにもたくさんの人の心が一杯の味噌汁に入っている」ということや、「毎日味噌汁を飲むことで強いからだと優しい心が生まれる」ことを伝えました。


 「一杯の味噌汁プロジェクト」は秋田市を中心に活動している団体です。「味噌汁を通じて正しい食生活とは何かを考え、味噌汁を通じて秋田を見つめ直し、味噌汁を通じて子供に命の大切さを伝える。」この3つの柱を掲げてプロジェクトを進めています。この活動に参加していた女性が、自分の地元でも活動を広げたいということで「太田一杯の味噌汁プロジェクト」を立ち上げました。

 「佐藤糀屋」は大仙市太田で地域にあいされ100年以上糀の製造を続けてきました。味噌の製法は昔ながらで、依頼主から持ち込まれた原材料が注文を受けた味噌の目方に足りない場合には、秋田県産の米と大豆を仕入れて使用しています。原材料のひとつである塩も、長年の経験からもとめたこだわりの塩を使っています。

 お客さんからの声を聞きながら丁寧に作られた味噌は、太田一杯の味噌汁プロジェクトが求める地産地消の安心な食材であり、活動のコンセプトと良く合致します。佐藤糀屋は太田一杯の味噌汁プロジェクトの活動をサポートすることで、長年支えあってきた地域への貢献にもつながります。


 この冬、太田一杯の味噌汁プロジェクトは、「味噌パーティー」で味噌汁の大切さについて学んだ園児たちと一緒に、味噌作り体験教室『味噌汁のタイムカプセルをつくろう』を開催しました。「味噌のタイムカプセル」には佐藤糀屋の協力を得て、子どもたちが手作りした味噌が使われます。この味噌作りに使われた大豆は、子どもたちが栽培した大豆を使用しています。大豆をすりつぶす作業も、昔ながらの手回しで行う道具を使いました。この道具は、現在でも自家で味噌を作っている近隣の農家から、佐藤糀屋が手配し借り受けました。

 こうした準備を経て、園児が昔ながらの手作業を楽しみながら仕込んだ味噌玉は、時間を掛けゆっくりと醸成されていきます。

 『味噌汁のタイムカプセルをつくろう』で協働するきっかけとなったのは、太田一杯の味噌汁プロジェクトから佐藤糀屋への声がけでした。これまで家族経営で特に営業活動をすることもなく、まじめに商売を続けてきた佐藤糀屋ですが、「地域の子どもたちに味噌汁を食べてもらい、地域の味を知ってもらえるなら」ということで協力することしたそうです。

 人と人との出会いや、想いの共有で活動を広めてきた「太田一杯の味噌汁プロジェクト」。協働は組織と組織で行うことが前提ですが、その根底には人と人とのおもいやつながりが大切だ、ということを改めて考えさせてくれる取り組みです。太田一杯の味噌汁プロジェクトでは、今後もこうした食育の活動の他に、地産地消を通じた安全な食環境や、地域の活性化にむけて活動していきたいと考えています。
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