人口減少や少子高齢化によって、住民同士の支え合いや住民自治の担い手確保が課題となっています。地域づくりの分野では、内閣府の補助金を活用し平成23年10月から25年3月まで秋田県南NPOセンターが中心となって実施された「高齢過疎地域による共助力アップ支援事業(横手モデル)※1」の成果が表れてきており、住民による支え合いの取り組みが加速し、秋田県内をはじめ全国へと広がりをみせています。
福祉の分野では、平成27年度の国の介護保険制度改正によって、ボランティアなど地域の多様な主体を活用しながら、高齢者を支援していく体制づくりが進められています。 共助組織の立ち上げ・継続支援に取り組みながら、地域包括ケアシステムに関する協議体の一員として関わり、見えてきたことについて考えていきます。
まちづくりも福祉も、ワークショップ等で課題について話し合い、地域でやるべきことなどを明確にする共通のプロセスがあります。両者に関わって見えてきたことは、担い手の確保という次のステップで前に進めない状況が目立つことです。地域が自ら協議し、支え合い活動に取り組むという意味でも、横手の共助組織は先進的と感じます。地域特性により容易に真似できる取組ではないとしても、なぜその活動が持続できているのか、参加者のモチベーションはどこからくるのかなど、学ぶ点はたくさんあるように思われます。
横手モデルで目指したのは、5年後10年後も安心安全に暮らせる地域のために、行政のみに頼らないで自立可能な地域共助の核となる「地域運営組織」の育成等に力を入れることでした。活動を続ける中で見えてきたのは、支え合い活動を行なうことが元気な高齢者の生きがいづくりにもつながるということでした。高齢者の日常生活支援や、生きがい・元気づくりという意味でも、現在活動する共助組織と地域包括ケアシステムの共通点は多く、住み分けではなく共有を図ることが大事だと感じます。人口減少の中で地域の担い手となる人材は限られていることから、共助活動に積極的に参加する人材は、地域づくりでも核となって活躍しています。
自治会と連動しながら次世代へその意思を引き継ぎ、多世代が力を合わせて地域づくりに取り組んでいくことが、目指す理想的な姿です。すぐに出せない結果であることから手を着けることを躊躇していても、いつかは誰かが担うことになります。今やるか先延ばしするか、それを決めるのは誰なのか、この問いについては7年前よりも人口減少や高齢化が進んだ現在の方がより緊急性があることは否めません。また、一方で活動を生きがいとしながら自ら地域の支え合いに関わる人たちもたくさんいます。老後の自分自身の生きがいややりがいに結びつくことで、健康寿命の延伸につながるなど、解決できる課題も増えていくように思います。
※1)平成24年、横手市内の旧小学校区をベースにした4地域に住民による支え合い組織(共助組織)が設立されました。現在は県の立ち上げ支援事業による設立団体を含む10団体によるネットワークである横手市共助組織連合会に発展し、それぞれが地域づくりの核になる組織へと成長しています。県南地区では湯沢市でも同様に平成30年に9団体による共助組織ネットワーク会議が設立されました。
※2)介護予防給付の一部であった介護予防訪問介護及び介護予防通所介護は、市町村が地域の実情に応じた取組を行うことができる「介護予防・日常生活支援総合事業」へと移行されることとなり、各地域で生活支援コーディネーターと協議体が設置されています。
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